職場での熱中症リスクが高まるなか、高齢スタッフへの対策が今改めて注目されています。高年齢労働者の暑さ対策は、安全な職場づくりに欠かせない最重要課題です。
この記事では、高齢者が熱中症にかかりやすい理由をはじめ、職場で今すぐ取り組める具体策や、費用負担を抑える補助金について分かりやすく解説します。
高齢者が職場で熱中症になりやすい最大の理由は、加齢に伴う身体的な変化にあります。若い世代と同じ環境で働いていても、体の中では大きな違いが生じているのです。主な理由は以下の2つです。
人は暑さを感じると、汗をかいたり皮膚の血流を増やしたりして体温を下げようとします。しかし高齢者は、発汗量や皮膚血流量が低下し、体の中に熱がこもりやすい状態になっています。
そのため、同じ作業環境であっても高齢労働者は深部体温が上がりやすく、熱中症のリスクが跳ね上がります。周りのスタッフ以上に特別な配慮が必要です。
もう一つの理由は、体の水分不足に気づきにくいことです。加齢によって「喉が渇いた」と感じる感覚が鈍くなるため、自発的な水分補給が減り、知らず知らずのうちに脱水が進んでしまう特徴があります。
本人が「喉は渇いていない」と思っていても、実際は危険な脱水状態になっていることも珍しくありません。「喉が渇く前に定期的に水分を摂る」というルールの徹底や、周囲からの声かけが不可欠です。
高齢労働者を熱中症から守るには、個人の注意だけに頼らず、組織全体で対策を進めることが大切です。管理者や安全衛生担当者が実践すべき環境・作業管理のポイントをまとめました。
作業環境を客観的に評価するには、気温や湿度などから算出する「WBGT(暑さ指数)」の測定が効果的です。ここで特に重要なのは、高齢者に対しては、一般のWBGT基準値より「約2℃低め」に設定して管理することです。
一般的な基準よりも厳しめの設定を用いて評価・管理し、早め早めの安全対策を行いましょう。
本格的な夏を迎える前の準備と、作業中の配慮も重要です。
作業環境の管理に加えて、個人の装備や設備を充実させることも効果的です。さらに、国の支援制度を活用することで企業のコスト負担を抑えながら対策を進められます。
作業者の負担を減らす具体策として、以下のようなアイテムの導入がおすすめです。
客観的なデータで個々の体調を把握することが、深刻な熱中症の予防につながります。
対策設備を導入する際は、「エイジフレンドリー補助金」の利用をご検討ください。
これは、60歳以上の労働者を対象とした熱中症予防対策(機器導入など)を支援する補助金です。空調設備の設置、冷却服、WBGT計、ウェアラブルデバイスの購入経費などが補助対象となります。
※年度によって申請要件や期限が変わる可能性があるため、申請を検討する際は必ず厚生労働省の公式ホームページなどで最新情報をご確認ください。
参考サイト: 「職場における熱中症対策 - 厚生労働省」
(https://jsite.mhlw.go.jp/yamanashi-roudoukyoku/content/contents/002282897.pdf)
高齢労働者の熱中症対策は、まず「加齢による身体機能の変化」を正しく理解することから始まります。
そのうえで、WBGT基準値の引き下げや計画的な休憩の実施、補助金を活用した設備導入など、管理者や安全衛生担当者が中心となって職場環境を改善していくことが重要です。最新の公的情報をチェックしながら、職場全体で安全管理を徹底していきましょう。
「大空間であっても個人を十分に冷却できる」という熱中症対策の新たなソリューションとして注目を集めているのがチラー水冷式身体冷却システム「COOLEX」。7~20℃の冷水をホース通して専用ウェア内に循環させ、酷暑現場であっても防護服を着ていても作業者個人をしっかり冷却します。同時に複数人を冷却できるシリーズ「COOLEX Multi」もラインナップ。当調査チームはこの「COOLEX」に注目し、商品の詳細や実際の導入事例について取材してみました。