一口に「工場」といっても、業種によって業務内容や作業環境はさまざまです。熱中症を予防するなら、その工場の課題をしっかり把握した上で、適切な対策をとりましょう。ここでは、食品工場におすすめの熱中症対策と、実際の対策事例をご紹介します。
品質低下や食中毒を防ぐために、食品工場ではしっかりと温度管理されています。そのため、熱中症の発症リスクは低いように見えるかもしれませんが、食品工場ならではの危険性が孕んでいるのは事実。例えば、加熱調理の工程で熱を使ったり、煮込んだ際に高温の水蒸気が大量発生してしまったり、作業内容によって熱中症が生じかねない状況を招いてしまいます。
また、衛生的な配慮から、作業者は衛生服やマスクを着用しているケースが少なくありません。作業中に暑さに加えて、息苦しさを感じることで熱中症を発症する可能性が高まってしまいます。
食品工場で熱中症を予防するためには、こうした状況を踏まえた対策をとる必要があります。特に作業者は衛生服を着ていることを前提とし、そのうえで作業者を冷却できるか、食品に影響を及ぼさないかどうか、などが重要になるでしょう。
食品工場では高温多湿な環境下での作業が多く、熱中症対策が特に重要です。まず、工場内の温度管理を徹底するために、換気システムの強化やエアコン、スポットクーラーの設置を検討しましょう。特に高温になる作業エリアには大型の送風機や冷風機を配置し、空気の循環を促進します。
また、作業者には吸湿性が高く通気性の良い作業着や冷感インナーを導入することで、体温上昇を抑制できます。定期的な休憩の確保と冷房の効いた休憩室の整備も重要で、作業中にこまめに水分補給を促すことで体調管理をサポートします。さらに、塩分タブレットやスポーツドリンクの配備も、熱中症予防に効果的です。日々の体調管理には、体温や体調のチェックシートを活用し、従業員の安全を確保しましょう。
具体的な熱中症対策としては、大型空調などの設備やファン付き作業服などのウェア類が挙げられます。これらの冷却効果や商品の特性などをリサーチし、どの設備・ウェアが食品工場に向いているのかをリサーチしてみました。
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熱中症対策におすすめの
工場設備を見る
種類 | 冷却効果 | 食品工場に向きor不向き? | |
設備 |
全体空調・大型エアコン |
20~45℃ |
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ゾーン空調 |
20~45℃ |
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スポットクーラー |
25~55℃ |
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ミストファン |
20~40℃ |
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冷風扇・冷風機 |
20~40℃ |
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チラー水冷式身体冷却システム |
25~55℃ |
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ウェア |
保冷材・ドライアイス付きウェア |
20~55℃ |
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ファン付き作業服 |
20~40℃ |
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氷水式ウェア |
20~40℃ |
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食品工場の熱中症対策には、大きく分けて、作業環境全体を整える対策と、作業者個人に対して行う対策の2つが考えられます。しかし、常に衛生服を身にまとっている食品工場では、エアコンを強くするなどして作業環境全体を整えても、十分に冷却効果が感じられない可能性があります。しかも、せっかくの食品が乾燥してしまったり、冷えたりすることで品質低下を招きかねません。
こうした前提を踏まえると、設備としては「チラー水冷式身体冷却システム」、ウェアとしては「保冷材・ドライアイス付きウェア」が食品工場におすすめの対策と言えます。前者はチラーからの冷水をホースで専用ウェアに循環させるシステムで、送風なしで衛生服の中を冷やすことができます。後者も送風がなく保冷剤が持続する限り冷却が可能。より長く継続して作業時間を確保したい場合はチラー水冷式身体冷却システムがおすすめと言えます。
ここでは食品工場の中で、実際に熱中症対策に成功した例をいくつかピックアップ。食品工場の様々な課題を解決しうる「チラー水冷式身体冷却システム」を導入している鎌倉製作所COOLEXの事例を一部ご紹介します。
調味液を200℃の熱風で噴霧乾燥し粉末化する工程では、夏場の作業場温度が50℃近くまで上昇。設備を停止しても、一度温度が上がった作業場は高温の状態が続き、その中で洗浄作業を行うと一気に湿度も上昇します。さらに作業者は長袖を着用することから熱中症リスクも高く、実際に過去にも症状がでた作業員がいるため、暑熱・熱中症対策に悩んでいました。COOLEXを導入した後は、「背中が冷え、冷却感が非常に良い」と現場から意見が寄せられてます。ウェアが洗濯できる点も好評のようです。
参照元:株式会社鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/キサイフーズ工業株式会社-様(池田糖化工業(株/)
冷凍チャーハンを製造する工程では、炒め機の前で作業を行います。スポットエアコンや扇風機で対策をしていたものの、作業者が衛生服を着用しているため、実際の温度以上に体感的には暑い状況でした。デモ機を借り、実際の現場で冷却効果と作業性を確認した上で、COOLEX-1を導入。衛生服の上から着用していますが、「寒く感じるほど冷える」という女性作業員もいるほど効果を感じています。ウェアも洗濯でき、2台を複数人で使用できるところも評価している点です。ホースの取り回しでの課題は、運用方法で工夫をしています。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/マルハニチロ株式会社-大江工場-様 /)
飴を製造する工程での釜作業は、ほとんど移動することなく釜の前で作業を行います。このため、熱い釜から常に熱を受ける環境でした。数年前から、外気を導入する給気装置で対策を行っていましたが、釜前作業の更なる環境改善を検討。小型扇風機のついたジャケットや、保冷材を使用した冷却ベストとも比較した結果、最も持続的な効果を感じたCOOLEXを導入することにしました。「今まで使用した中で一番効果があった」 と現場でも好評です。ホースの取り回しも慣れれば問題ないため、夏の効果を検証した上で、別工場への導入も検討していく予定です。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/エーケーエム株式会社-様/)
様々な材料を乾燥させて「だし粉」として製造する工程では、大型乾燥機を稼働させなければならず、さらに熱処理工程では高温の蒸気が発生して作業所の温度や湿度を上げるという過酷な環境になります。そのためエアコンやスポットクーラーでは冷却が追いつかず、保冷剤などもすぐに効果が失われていました。
防塵防水仕様のCOOLEXを導入した当初は動きに違和感を抱く人もいましたが、慣れれば作業に支障を来すこともなく冷却効果を実感しています。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/株式会社フタバ-本社工場-様%e3%80%80/)
和菓子として最中を製造している工場では、ガスで生地を焼く最中焼き回転機が常に稼働しており、特に夏場は室内の温度が45度以上になることも珍しくありません。さらに年々の気温上昇で既存設備では対応が追いつかず、効果的な熱中症対策を検討している時にCOOLEXのトライアルを試しました。
COOLEXを使う前は汗だくの作業でしたが導入後は汗をかく量が減って疲労も抑えられた上、2時間の連続作業も行えるようになり生産量が向上しました。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/種兵-様/)
飴の製造は高温で材料を溶かす作業からスタート。熱い釜から放射される熱に耐えながら働く過酷な環境です。数年前から給気装置を導入し扇風機や保冷剤、冷却ベストなどの使用も検討しましたが、最終的に持続性と冷却効果の観点から「COOLEX-1」の採用がよいと判断し導入しました。現場からは「今まで使用した中で一番効果があった」との声を聞いています。夏の効果を検証したうえで、別工場でも導入を検討していく予定です。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/株式会社鈴木栄光堂-様/)
玄米の投入作業をする部屋が奥まった場所にあり、空気の流れが悪い空間で作業機械からの熱や室温によって夏場は特に過酷な状態が続いていました。COOLEXを知ったきっかけはメディア記事で、作業性との相性や現場での利便性などを考慮して導入を決定。オプションのアーム架台も併用したことで作業員の満足度が高まりました。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/前原製粉株式会社-様/)
群馬工場では、夏場に40℃近くなる過酷な作業環境で熱中症が発生していました。改善策として、ファン付き空調服やスポットクーラーを導入しましたが効果が不十分でした。その後、鎌倉製作所のクールシリーズを採用し、ハイグレード形のクールクリーンファンと省エネ形のルーフファンを設置。さらに、作業者の排熱対策としてCOOLEX-1も導入しました。その結果、室温が32℃に低下し、熱中症ゼロの安全な作業環境を実現しました。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://kamakura-ss.co.jp/show_case/098/)
引用元:鎌倉製作所【公式】YOUTUBE
(https://www.youtube.com/watch?v=E-qiC7LbQHM)
適用温度 | 25~50℃ |
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使用人数 | 1~10人(※1台あたり) |
作業範囲 | 50~70m |
適用温度 | 10~50℃ |
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使用人数 | 1~2人 |
作業範囲 | 制限無し |
適用温度 | 25~50℃ |
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使用人数 | 1~2人 |
作業範囲 | 半径10~20m |
適用温度 | 25~50℃ |
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使用人数 | 1~2人 |
作業範囲 | 半径4~8m |
「大空間であっても個人を十分に冷却できる」という熱中症対策の新たなソリューションとして注目を集めているのがチラー水冷式身体冷却システム「COOLEX」。7~20℃の冷水をホース通して専用ウェア内に循環させ、酷暑現場であっても防護服を着ていても作業者個人をしっかり冷却します。同時に複数人を冷却できるシリーズ「COOLEX Multi」もラインナップ。当調査チームはこの「COOLEX」に注目し、商品の詳細や実際の導入事例について取材してみました。