作業員の熱中症を効果的に予防するなら、現場の課題をしっかり把握した上で、適切な対策を取ることが大切です。ここでは、製品加工の現場におすすめの熱中症対策と実際の対策事例をご紹介します。
製品加工工場の屋根や外壁は、その多くが頑丈な鉄やコンクリートでできています。そのため、夏は日差しによる熱が鉄やコンクリートを伝って室内の温度を上昇させてしまうのです。
また、大型の機械や装置を設置するために、工場内は天井が高くとられています。空調で部屋全体の温度を下げようにも、空間が大きいために調整が難しいのが実情です。さらに、設置している機械が稼働する度に、大量の輻射熱が放射されています。
これら要因による熱さを少しでも和らげるためには、工場の屋根や壁に遮熱効果のある塗装や断熱フィルムを施す、加工機械や装置の近くには吸排気フードを設けて、輻射熱を排出するように工夫しましょう。
空間全体の温度を下げることが難しい場合、人が作業する近くにスポットクーラーやファンを設置するのも効果的です。
主な熱中症対策の中で、上記のような課題を抱える製品加工現場に向いている設備やウェアはどれなのか、リサーチしてみました。
種類 | 冷却効果 | 製品加工に向きor不向き? | |
設備 |
全体空調・大型エアコン |
20~45℃ |
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ゾーン空調 |
20~45℃ |
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スポットクーラー |
25~55℃ |
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ミストファン |
20~40℃ |
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冷風扇・冷風機 |
20~40℃ |
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チラー水冷式身体冷却システム |
25~55℃ |
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ウェア |
保冷材・ドライアイス付きウェア |
20~55℃ |
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ファン付き作業服 |
20~40℃ |
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氷水式ウェア |
20~40℃ |
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製品加工の現場は、大きな機械や装置が設置されている箇所も多く、空調にムラが生じやすくなります。空調の力だけで空間全体を冷やそうとすると莫大なコストがかかりますし、機械の近くでは効果を感じられないことも。
そんな製品加工現場における熱中症対策でおすすめなのが、チラー水冷式身体冷却システムです。チラーで作った冷水をウェア内のチューブに循環させることで、作業者個人をピンポイントに冷やすことができます。風が発生しないので製品を加工する際にも影響がなく、バッテリーの残量や保冷剤の温度を気にせず長時間使用が可能です。それぞれの作業者が快適に加工作業を行えるでしょう。
大型タイヤを製造加工している現場で、チラー水冷式身体冷却システムを導入した事例です。加工プロセスに欠かせない清掃作業では、作業者が乗るモールド(タイヤ金型)の表面温度が100℃をも超えるため、たいへん厳しい作業環境でした。
ファン付作業服や送風機を当てても熱風が当たるだけで効果を感じられませんでしたが、チラー水冷式身体冷却システムを導入したところ、冷たく感じられて首や背中が快適になったとの声が。冷却材を入れ替える手間も要らず、作業者から好評を博しています。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/日本ジャイアントタイヤ株式会社-様-(goodyearグループ/)
合成ゴムパッキンの製造加工を行っている現場での導入事例です。熱源に蒸気や電気ヒーターを使用するため、プレス加工での作業現場が常に酷暑状態となっていました。
スポットクーラーやエアコンを試してはみたものの、あまり効果を感じられないばかりかコストもかさむ結果に。そこでチラー水冷式身体冷却システムを導入したところ、作業効率は少々下がるものの、冷却効果を感じられたと言います。
エアコンよりランニングコストも安く、特に猛暑の日の防暑対策として重宝されています。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/株式会社阪上製作所-船橋工場-様/)
耐熱性の高い石英ガラスを加工している工場で、チラー水冷式身体冷却システムを導入した事例です。1200℃の炉から出てきたガラスにバーナーを使う作業のため、従業員は常に手元からの輻射熱を身体あびている状態でした。炉の周囲や室内温度が高く、空調服だと十分な冷却効果を得られない、スポットクーラーを設置しても排熱の影響で結局室内温度を上げてしまう要因になっていました。
作業者全員にチラー水冷式身体冷却システムを導入したところ、「身体が楽になった」「作業後のダルさがなくなった」との声が。これまでは各自がこまめに休憩時間を取っていましたが、休憩の間隔が延び生産性の向上も感じられています。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/江信特殊硝子株式会社-須賀川工場-様/)
三宝化学研究所では、従業員の作業環境改善を図るため、COOLEX®の冷却システムを工場に導入しました。上半身がシッカリ冷えているため身体への冷却効果を感じているとの声が上がっており、評判も上々のようです。高温作業の負担を軽減する冷却装置により、全従業員が安全に作業できるよう支援しています。また、定期的な温度・湿度管理も行い、COOLEX®の効果を最大限に引き出す運用体制を確立。これにより、労働者の健康被害リスクを最小限に抑え、生産性の向上も達成されています。従業員の健康維持が重視され、企業全体での持続的な成長にも貢献しています。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/株式会社三宝化学研究所-堺工場-様 /)
塗料製造の仕込み作業を行うアトミクス株式会社では、高温環境で作業を行う従業員の安全を確保するためにCOOLEX®システムを導入し、暑さに伴う現場環境の負担を軽減しました。作業員には冷却ベストを支給し、さらに専用冷房装置で気温を下げることで、効果的な体温調節が可能になっています。夏季の酷暑対策として特に効果を発揮し、従業員からの信頼も得られるように。結果として、長時間の高温作業による生産性低下を抑え、企業の業務効率化に寄与する形で大きな成果を上げています。現場の環境改善事例として社内で報告されました。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/アトミクス株式会社-加須工場-様 /)
神戸製鋼所では、製造現場での過酷な高温作業に対する安全対策として、COOLEX®システムを導入し、熱中症リスクの低減を図っています。今まで何も暑熱対策をしていなかった従業員の熱中症リスク低減のため、システム導入後には、作業エリアごとの温度モニタリングを実施し、ピンポイントで冷却が必要な場所に集中して対応しています。これにより、特に長時間作業が必要な夏季における従業員の健康リスクを抑制し、業務の安定化にも貢献しています。導入後、作業効率が上がり、生産性向上も実現し、安全面と業務効率の両立に成功しています。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/株式会社神戸製鋼所-長府製造所-様/)
東邦金属株式会社では、工場内の温度上昇による従業員の負担を軽減するため、COOLEX®システムを採用しました。システムを用いて職場全体の温度を効果的に管理することで、熱中症リスクを大幅に軽減することができました。導入時には従業員への定期的な温度チェックと、体調管理を推進し、安全対策に努めています。この取り組みにより、事故のリスクが低減され、従業員からの満足度も向上。温度管理の徹底により、作業効率が改善し、安全と効率を兼ね備えた作業環境を実現しました。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/東邦金属株式会社-門司工場-様/)
引用元:鎌倉製作所【公式】YOUTUBE
(https://www.youtube.com/watch?v=E-qiC7LbQHM)
適用温度 | 25~50℃ |
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使用人数 | 1~10人(※1台あたり) |
作業範囲 | 50~70m |
適用温度 | 10~50℃ |
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使用人数 | 1~2人 |
作業範囲 | 制限無し |
適用温度 | 25~50℃ |
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使用人数 | 1~2人 |
作業範囲 | 半径10~20m |
適用温度 | 25~50℃ |
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使用人数 | 1~2人 |
作業範囲 | 半径4~8m |
「大空間であっても個人を十分に冷却できる」という熱中症対策の新たなソリューションとして注目を集めているのがチラー水冷式身体冷却システム「COOLEX」。7~20℃の冷水をホース通して専用ウェア内に循環させ、酷暑現場であっても防護服を着ていても作業者個人をしっかり冷却します。同時に複数人を冷却できるシリーズ「COOLEX Multi」もラインナップ。当調査チームはこの「COOLEX」に注目し、商品の詳細や実際の導入事例について取材してみました。