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【管理者向け】「工場 熱中症対策」ギモン解決BOOK ~Ne-Ketsu(ネッケツ)~ » 酷暑の職場は要注意!熱中症の基礎知識 » 工場の熱中症対策に有効なプレクーリングとは?

工場の熱中症対策に有効なプレクーリングとは?

夏場の工場では、屋外作業だけでなく屋内作業でも熱中症のリスクが高まります。炉・乾燥機・成形機などの熱源がある工程、空調が届きにくい大空間、湿度が高い作業場では、体内に熱がこもりやすくなります。

こうした現場で注目されている対策の一つが「プレクーリング」です。プレクーリングとは、暑熱環境で作業を始める前に体を冷やし、深部体温の上昇を抑えやすくする方法です。作業前や休憩後に取り入れることで、熱中症リスクの軽減につなげられます。

参照元:日本スポーツ振興センター 競技者のための暑熱対策ガイドブック(https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/jiss/jigyou/pdf/shonetsu2.pdf
目次

プレクーリングとは?工場の熱中症対策で注目される理由

プレクーリングは、作業中に体温が上がりすぎる前に、あらかじめ体を冷やしておく熱中症対策です。単に「涼しく感じる」ことが目的ではなく、体の内部の温度である深部体温の上昇を緩やかにすることが重要です。

暑い環境で作業を続けると、筋肉活動や熱源からの影響で体温が上がります。高温多湿の環境では汗が蒸発しにくく、熱を外に逃がしにくくなります。深部体温が上がりすぎると、めまい・頭痛・吐き気・脱力感・意識障害などの熱中症症状につながるおそれがあります。

特に工場では、作業が始まってから自由に涼しい場所へ移動できないケースがあります。ライン作業、連続運転設備、炉や加熱設備の点検などでは、作業前や昼休憩後に体を冷やしておくことが、現場に取り入れやすい予防策になります。

工場でプレクーリングが必要になる場面

熱中症は屋外だけで起こるものではありません。屋内工場でも、熱源となる設備、空調不足、湿度の高さ、シャッター開閉による熱気の流入などが重なると、作業者の体に熱がこもりやすくなります。

また、工場では安全のために長袖作業着、ヘルメット、手袋、防護服、耐熱服、マスクなどを着用する場面があります。これらは事故やけがを防ぐために必要ですが、通気性が低い装備では放熱が妨げられ、短時間でも身体への負担が大きくなる場合があります。

厚生労働省の職場向けガイドラインでも、熱中症予防にはWBGT値の把握、作業時間の短縮、休憩場所の整備、水分・塩分補給、健康状態の確認などを組み合わせることが重要とされています。プレクーリングは、これらの対策を補強する方法として位置づけるとよいでしょう。

参照元:厚生労働省 職場における熱中症防止のためのガイドライン 概要(https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001676132.pdf

工場で実施しやすいプレクーリングの方法

アイススラリーを飲む

工場で取り入れやすい方法の一つが、アイススラリーの摂取です。アイススラリーとは、細かい氷の粒子が液体に混ざったシャーベット状の飲料で、体の内側から冷却する方法として注目されています。

アイススラリーは、身体冷却と同時に水分・電解質・糖質を補給しやすい点が特徴です。始業前、朝礼後、昼休憩後、高温作業の直前などに配布すれば、作業の流れに組み込みやすくなります。

ただし、導入時は冷凍保管、配布方法、摂取タイミング、賞味期限管理を決めておく必要があります。冷たい飲料で胃腸に負担を感じる作業者もいるため、体調確認とあわせて運用しましょう。

参照元:日本スポーツ協会 スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/heatstroke/heatstroke_leaflet202007.PDF

手のひら・前腕を冷やす

手のひらや前腕を冷水で冷やす方法も、比較的低コストで始めやすいプレクーリングです。休憩所に冷水や専用容器を用意し、作業前や休憩中に手のひら・前腕を冷やすことで、体の熱を逃がしやすくします。

一方で、氷水のように極端に冷たい水を使うと、冷たさによる不快感や血管収縮を招く場合があります。作業者が痛みやしびれを感じない温度で、無理なく続けられる方法にすることが大切です。

冷却ベスト・アイスベストを使う

冷却ベストやアイスベストは、保冷剤や冷却材で胴体を冷やす方法です。高温作業が続く工程や、作業場所から離れにくい現場では、着用したまま冷却できる点がメリットです。

ただし、ベストの重さ、動きやすさ、保冷時間、機械への巻き込みリスク、作業姿勢への影響を事前に確認する必要があります。導入前に試用期間を設け、現場で安全に使えるかを確認しましょう。

プレクーリングを実施するタイミング

プレクーリングは、始業前・朝礼後・高温作業の直前・昼休憩後に実施しやすい対策です。特に昼休憩後は、気温やWBGT値が高くなりやすく、工場内にも午前中の熱が蓄積していることがあります。午後の作業再開前に体を冷やすことで、体温上昇に備えやすくなります。

また、作業の合間や休憩中に体を冷やす「パークーリング」と組み合わせることも有効です。たとえば、始業前にプレクーリングを行い、午前・午後の休憩時に手のひら冷却や冷却ベストの交換を行うなど、現場の作業リズムに合わせて設計します。

実施の優先順位は、WBGT値や作業負荷に基づいて判断しましょう。熱源の近く、空調が届きにくい場所、湿度が高い場所、保護具を着用する工程では、重点的な実施が必要です。

参照元:環境省 熱中症環境保健マニュアル 2022(https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php

プレクーリングを行う際の注意点

プレクーリングは有効な対策ですが、冷やせば冷やすほどよいわけではありません。極端な冷却は不快感や胃腸への負担につながることがあります。冷たい飲料が苦手な作業者、持病がある作業者、体調不良者には個別の配慮が必要です。

また、プレクーリングをしていても水分・塩分補給は欠かせません。体を冷やしていても、暑熱環境で作業すれば汗によって水分と塩分が失われます。休憩時間だけでなく、必要に応じて作業中にも補給できるルールを設けましょう。

アイススラリーや冷却水を扱う場合は、衛生管理も重要です。飲料の保管温度、賞味期限、開封後の取り扱い、共用容器の清掃ルールを明確にし、熱中症対策が衛生トラブルにつながらないようにしてください。

プレクーリングと併用すべき工場の熱中症対策

プレクーリングだけで熱中症を完全に防げるわけではありません。工場では、WBGT値の測定、作業時間の短縮、休憩頻度の見直し、冷房の効いた休憩場所の整備、水分・塩分補給、作業者の健康確認を組み合わせて実施することが大切です。

休憩所には、冷房、送風機、冷たい飲料、塩分補給品、冷却グッズを用意しましょう。休憩場所が遠いと十分な休憩が取られにくいため、高温作業エリアの近くに冷却スペースを設けるなど、使いやすさにも配慮が必要です。

空調服、送風機、スポットクーラーも有効ですが、高湿度環境では汗が蒸発しにくく、効果が限定的になる場合があります。現場ごとの温度・湿度・風通しを確認しながら、プレクーリングと組み合わせて運用しましょう。

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まとめ

プレクーリングは、暑い環境で作業を始める前に体を冷やし、深部体温の上昇を抑えやすくする実践的な熱中症対策です。

  • 始業前・昼休憩後・高温作業前に実施する
  • アイススラリー、手のひら冷却、冷却ベストなど現場に合う方法を選ぶ
  • WBGT管理、休憩、水分・塩分補給、健康確認と組み合わせる

プレクーリングは、無理な作業を可能にするための方法ではなく、職場全体の熱中症対策を補強する手段です。まずは高温リスクの高い工程から導入し、作業者が無理なく続けられる運用ルールを整えましょう。

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取材協力 株式会社鎌倉製作所 COOLEX事業部
独自のチラー水冷式身体冷却システム

「大空間であっても個人を十分に冷却できる」という熱中症対策の新たなソリューションとして注目を集めているのがチラー水冷式身体冷却システム「COOLEX」。7~20℃の冷水をホース通して専用ウェア内に循環させ、酷暑現場であっても防護服を着ていても作業者個人をしっかり冷却します。同時に複数人を冷却できるシリーズ「COOLEX Multi」もラインナップ。当調査チームはこの「COOLEX」に注目し、商品の詳細や実際の導入事例について取材してみました。


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