作業中の熱中症を予防するためには、その現場の特性や業務課題をしっかり把握した上で、適切な対策をとることが大切です。ここでは、高所作業におすすめの熱中症対策と、実際の対策事例をご紹介します。
高所作業では落下のリスクから身を守るためにハーネスを着用します。熱中症対策としてポピュラーなものに空調服がありますが、ハーネスの外側から空調服を着用すると、作業者が落下した際に首が締まる、配線類などの問題からショックアブソーバーが機能しない問題がありました。もし落下事故が起こった際にこのような問題が起きると、重大な事故につながりかねません。
近年はフルハーネスの内側に着用できるタイプの空調服が登場していますが、空調服に取り付けられているファンの落下やバッテリーパックの落下など、落下物を発生させてしまう危険性が残されています。高所作業の安全対策と熱中症対策を同時に進めるには、ハーネス着用時のリスクと落下物のリスクを回避しなくてはなりません。
風が発生しない冷却システム
「COOLEX-Multi」を
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主な熱中症対策の中で、上記のような課題を抱える高所作業時に向いている設備やウェアはどれなのか、リサーチしてみました。
「熱中症対策における設備・ウェアの詳細」はこちら
熱中症対策におすすめの
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種類 | 冷却効果 | 高所作業に向きor不向き? | |
設備 |
全体空調・大型エアコン |
20~45℃ |
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ゾーン空調 |
20~45℃ |
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スポットクーラー |
25~55℃ |
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ミストファン |
20~40℃ |
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冷風扇・冷風機 |
20~40℃ |
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チラー水冷式身体冷却システム |
25~55℃ |
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ウェア |
保冷材・ドライアイス付きウェア |
20~55℃ |
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ファン付き作業服 |
20~40℃ |
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氷水式ウェア |
20~40℃ |
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高所作業では、作業者の落下事故を防ぐのはもちろん、落下物を発生させないことも求められます。冷風扇や冷風機を設置できないため、熱中症対策では作業者個人を冷やす設備が必要です。ただ、空調服を利用する場合、取り付けられているファンやバッテリーが落下するリスクがあります。また、フルハーネスを着用する現場ではハーネスの上から空調服を着用すると落下時に正しく機能しないタイプもあり、専用の空調服を揃えなくてはなりません。
チラー水冷式身体冷却システムなら、チラーで作った冷水をウェア内のチューブに循環させるだけなので、ファンやバッテリーの落下リスクがありません。また、ファンでウェアが膨らまないため高所での作業がしやすく、簡単に抜けるのが難しい現場でも長時間にわたって作業者個人をピンポイントに冷やすことが可能です。外気温の影響を受けることなく、40~45℃の環境下でも10℃の冷水を作り出せます。今まであきらめていた酷暑現場でも確かな冷却効果を実感することができるでしょう。
ここでは、高所作業で実際に熱中症対策に成功した例をいくつかピックアップしてまとめました。チラー水冷式身体冷却システムを導入している鎌倉製作所COOLEXの事例を一部ご紹介します。
スラブ搬送を行う天井クレーン作業における導入事例です。スラブからの輻射熱が影響し、外気温を超える過酷な現場でした。新たな空調や防熱板を設置するとなると大規模な設備投資が必要なことから他の対策を検討していたところ、COOLEXを知り、1週間のデモを実践。COOLEXはウエアの着脱性や作業性が良く、十分な冷却効果を確認できたことから導入を決定。大柄な作業者には特注サイズのウエアも採用し、熱中症を発生させない環境づくりを整えることができました。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/日本製鉄株式会社-東日本製鉄所-鹿島地区-様%e3%80%80/)
鉄鋼業の天井クレーン操作室での導入事例です。天井クレーン操作室には上がってくる熱気の影響で、作業時間2時間のうち15分程度は非常に暑い工程の上部で行わなくてはならず、過酷な環境でした。操作室にはエアコンも設置されていましたが、温度が上がるとブレーカーが落ち、機能しなくなってしまう現状でした。効果的な熱中症対策を探しているときにCOOLEXを知り、2週間のトライアルの後に導入を決定。作業員の評価も高く、熱源上部を通過する作業場面でも効果を確認できています。
参照元:鎌倉製作所COOLEX公式HP
(https://coolex.jp/case/共英製鋼株式会社-名古屋事業所-様/)
引用元:鎌倉製作所【公式】YOUTUBE
(https://www.youtube.com/watch?v=E-qiC7LbQHM)
適用温度 | 25~50℃ |
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使用人数 | 1~10人(※1台あたり) |
作業範囲 | 50~70m |
適用温度 | 10~50℃ |
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使用人数 | 1~2人 |
作業範囲 | 制限無し |
適用温度 | 25~50℃ |
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使用人数 | 1~2人 |
作業範囲 | 半径10~20m |
適用温度 | 25~50℃ |
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使用人数 | 1~2人 |
作業範囲 | 半径4~8m |
「大空間であっても個人を十分に冷却できる」という熱中症対策の新たなソリューションとして注目を集めているのがチラー水冷式身体冷却システム「COOLEX」。7~20℃の冷水をホース通して専用ウェア内に循環させ、酷暑現場であっても防護服を着ていても作業者個人をしっかり冷却します。同時に複数人を冷却できるシリーズ「COOLEX Multi」もラインナップ。当調査チームはこの「COOLEX」に注目し、商品の詳細や実際の導入事例について取材してみました。